中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3406回
仕事を変えるか、引越しをするか

会社の寿命は30年と言われた時代があります。
どんな会社だって創業してすぐ軌道に乗るわけではなく、
成長期に入るまでに5年や10年かかるのは
珍しいことではありません。
それがやっと一人前と認められて世間の注目を浴びるようになると、
業績も利益もグングン伸びますが、
やがて成長が鈍化する時が必らずきます。
それは一人の人間の働き盛りとほぼ一致しますが、
もちろん、創業者が途中で他界して
あとを後継者たちがバトン・タッチして
成長を続ける場合もあります。
農業社会の場合は60年に1回の周期というサイクルでしたが、
工業社会になると、その半分に縮まってしまいました。
日本も敗戦直後をスタート・ラインと考えると、
もう既に60年あまり経ってしまいましたから、
少くとも2回は
産業界のチャンピオン企業が入れ替わっていることになります。
私は50年にわたって日本の産業界を観察する立場にいますので、
少くとも2回は大社長が死んだり、
途中で倒産してあえない最後を遂げるのを見てきたことになります。

それが更にアクセル踏んで産業界の隆替にスピードがかかると、
景色の入れ替わりは更に激しくなって、
一つの企業、もしくは業種の寿命は短かくなって、
昨日も申し上げたように
10年で選手交替ということになってきました。
すると一人の人の寿命がまだ終っていませんから、
一生の間に何回もピンチにあうことになってしまいます。
人は一生の間、一つの仕事で貫けるとは限らなくなるし、
おかれた立場によっては
何回も商売変えをしなければならなくなります。

つまり一生を一つ仕事で貫こうと思えば、
働く場所を変える必要が起るし、
同じ場所で働く道を選ぶ人は仕事の方を変えなければ
やって行けないことになります。
どちらを選ぶかは
その人のおかれた環境と物の見方によって違いますが、
このまま続けて行けば仕事をやめるか、
破産をさせられることは避けられなくなります。
いま多くの自営業者がその位置におかれているのです。


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2009年7月7日(火)

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