中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3407回
家業に後継ぎがいないのは当り前

1つの事業が10年しかもたない時代になると、
人は一生の間に2回か3回、
仕事を変えなければならなくなります。
30代から仕事をはじめたとして、
5年間は悪戦苦闘に明け暮れたあと、
10年頑張ってそれで終わりになった時は既に45歳、
それからもう一度出直して、
同じプロセスを辿ると二度目のおしまいは60歳になります。
大抵の人はもうそのへんでくたばって、
もう一度やりなおす気力はなくなっています。

私の場合は有名な占師から
「60歳すぎたら仕事をやめた方がいいですよ」
とアドバイスされましたが、
60歳すぎてからはじめた仕事の方が何とか形になって、
いまも毎年のように新しい仕事に挑戦していますが、
周囲を見ると、「二度あることは三度ある」
というわけには行かないようです。

ですから一代で自分なりの仕事で
自分なりの成功をおさめた人は、
いまのような時代は必らず出直しをする覚悟が必要です。
そのためには成功に酔うことなく、
世の中の移り変わりに片時も目を離すことなく
次々と手を打たなければなりません。
それでも10年もたたないうちに
自分が現にやっている仕事に陽が当たらなくなるのですから、
もう一度、はじめからやり直しをやらなければならないのです。

人は40代から50代になると、ましてや60才になると、
それのできる人とそうでない人にはっきりわかれます。
時代の変化を読む力のある人と
そうした変化に対応できるだけの柔軟な頭を持っている人は
もう一度出直すことをおそれませんが、
そうした対応のできる確率はそんなに高くはありません。
ましてや不景気になって会社をクビになったから、
ラーメン屋かギョウザ屋をはじめようかでは
うまくやって行けるわけがありません。
1つの事業が10年もたないのに、
息子に家業を継がせようと考える親もトンチンカンですが、
それをおとなしく受け入れる息子も息子ということになります。
家業そのものがあッという間に消えてなくなっている
時代なんですから。


←前回記事へ

2009年7月8日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ