中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3499回
北海道は未開発の観光資源です

日本人の多くの人は知らないかも知れませんが、
中国人は北海道に対して異状な関心と好意を持っています。
中国映画で大ヒットした
「非誠勿擾」(真心がなければ近づかないで)
という映画の舞台が北海道になっていて、
とてもロマンチックな気分になってしまうことから
そういうムードが普及したのだそうです。

そのせいか、上海や北京の日本料理屋やバーにも
北海道という屋号の店がよく見られるようになりましたし、
私の知人の中にも北海道産の農水産物を
大陸で売りたいといって奔走している人がおります。
考えて見ると、今日、日本文化として
欧米人から認められている日本の伝統工芸品は
ほとんどが中国からの渡来品で、
キモノだって呉服(呉の国の衣裳)というくらいですから、
日本のオリジナルとは言えません。
自動車だって日本の物か、ラーメンだって日本の物か、
ということになってしまいます。
それでもトヨタやホンダの自動車は中国で人気を呼んでいるし、
日産に至ってはこの3ヶ月、
中国での売上台数が日本国内より多いと新聞は報じています。

ですから何が中国人の心をとらえるかは
ちょっとしたきっかけで大きく変わります。
たとえば、京都は日本を代表する歴史的名所ですが、
中国人にはそんなに人気はありません。
もともとは唐の時代の長安の都をコピーして
できあがったものですから、珍しくもどうもないし、
古さを競うなら、京都も奈良も長安に敵うわけがありません。

それに比べると、北海道は環境から産物に至るまで、
中国には見られない物ばかりです。
雪だけなら東北三省も負けないでしょうが、
北海道のような素晴しいスキー場もないし、
札幌のような雪祭りもありません。
鮭の囲流もないし、立派な温泉付きの近代ホテルもありません。
中国人にとっては北海道の方が
京都や奈良よりずっとロマンチックに見えるのです。
北海道は日本にとってまだ未開発の観光資源なのです。


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2009年10月8日(木)

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