中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3504回
市況株は成長株ではありません

日本の鉄鋼業界がオーストラリアから仕入れる鉄鉱石の値段は
前年度に比べて3割方値引きした価格で決定したと
新聞は報じています。
普通は日本とヨーロッパの仕入れ値段が決まると
それが相場になって他の国々もその値段に従うのですが、
今年は中国がその値段では承服せず、
更なる値引きを要求して頑張っています。
いまや粗鋼の生産量は中国が世界のトップに躍り出て、
価格決定権は自分たちにあると言って粘っているのです。

それは中国にそれなりの実力があるようになったせいですが、
鉄のような景気不景気に大きく左右される業種は
もはや中国でも成長産業ではなくなり、
市況に大きく価格や利益を左右される
市況株になってしまいました。
同じ市況株でも、企業によって莫大な利害をあげる銘柄もあれば、
そのあとについてやっと黒字になる同業メーカーもあります。
ですから市況によって大きな波を画く業種として、
株価も大きく動くので、
一山あてたい投資家たちの投機の対象になります。

景気がどう動くのか、また不動産ブームがどうなるのか、
船賃がどういう動きになるのか、
それを的確に読むことができれば、
製鉄業も、それからアルミニウム業も
上下が倍以上の動きになるので、
株をやる人の最大の関心事になります。
しかし、上がる株が長期にわたって上がり続けるわけではなく、
巨大資本になるに従って
だんだんその重さに耐えられないような株価になることは
新日鉄をはじめ、日本の製鉄メーカーや
アルミ・メーカーの株価が示している通りです。

それに比べれば、
中国の素材メーカーはまだはじまって歴史が短い分だけ
元気のいい動きをしています。
私もそういう株を買って
値上がりの恩恵を蒙ったことがありますが、
市況産業だけに長期保有の対象にならないのではないかと
思うようになりました。
長期保有と言っても一生持ち続けるわけではありませんが、
たとえば5年とか10年になると
選別の仕方が自ら違ってくるのではないでしょうか。


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2009年10月13日(火)

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