中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3522回
お金でお金を稼ごうとすれば必らず躓く

日本の銀行の棚卸しばかりになってしまいましたが、
世界的金融不安の元凶は何と言っても
アメリカの投資銀行や証券会社や保険会社です。
サブプライム・ローンにはじまった金融業界の大ピンチは、
銀行が産業界の育成という本来の使命を忘れて、
お金でお金を稼ごうという強欲に端を発したものです。

ドルがポンドに代わって世界の通貨になったのは、
アメリカの経済が健全に発展して
世界一の経済大国になったからです。
ついこの間までドルは金によって裏づけされていましたので、
世界大恐慌に見舞われて善後処置を任されたルーズベルトでさえも、
勝手に紙幣の印刷をすることはできませんでした。

ところが、第一次石油ショックに見舞われたあと、
アメリカは省エネに走るどころか、
大型車を生産し続ける中で、ドル紙幣を印刷して
1バレル30ドルから100ドルをこえる石油の輸入を続けました。
双児の赤字どころか、国をあげて消費を続けたので、
あッという間に世界中がドルの大洪水になってしまいました。
チューリッヒにマネーゲームの小鬼たちが誕生したかと思ったら、
世界中をアメリカの大鬼たちが
「金で金を生む」ゲームに狂奔するようになったのです。

アメリカが貿易の大赤字をツーペイにするために
印刷して支払ったドルを一番たくさん稼いだのは日本でしたが、
日本は稼いだドルを外貨準備として円の大増刷をしたので、
バブルの大崩壊に見舞われました。
そのドルを利殖で稼いであげますと
うまいことを言って世界中からかき集めて、
「お金でお金を生むビジネス」をはじめたのが
アメリカの投資銀行や証券会社です。
日本がやったことをもっと大きなスケールではじめたのですから、
似たことが次にアメリカで起るぞと私が予言したとしても
人に誇るほどの先見の明というほどではありません。
詳しくは1999年に私が書いた
「マネーゲーム敗れたり」をもう一度読んで下さい。
アメリカでも不動産で躓くだろうとはっきり書いてあります。


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2009年10月31日(土)

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