中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3562回
今に日本は茶摘みをする人もいなくなる

中国の高度成長が進む過程で、
新しく外国から取り入れた生産技術や商売のやり方のほかに、
これまで人々の生活を支えてきたさまざまの分野で
改良や改善が次々と起っています。
何千年も続いてきた中国料理だって
この10年あまりで著しい変化を見せているし、
20年前にはじめて中国に行った時に一番辟易したトイレだって
都市部ではいつの間にか大半が水洗便所にとってかわられています。

ですから、病気をした時の医療の方法だって、
食糧の生産方法だって、
当然これから大きく改良される時期に入ると見ていいでしょう。
その場合、中国になかった物で
誰が見ても「文明の利器」に属する物は
何の抵抗もなくすぐにも取り入れられますが、
古くから中国にあって、中国を代表する文物は
中国人が誇るものでもありますから、根強い抵抗が考えられます。
漢方もそうですが、農業や嗜好品の分野でも同じ傾向が見られます。
お茶のつくり方やお茶の入れ方についても
同じことが言えます。

静岡のお茶屋さんが中国進出を考えたのは
中国のお茶のつくり方が時代遅れだから、
ひとつ改良してやれということからはじまったことではありません。
お茶をつくるのに、茶の木を植えることからはじまって、
茶畑の手入れから茶の葉を摘むのに手がかかりすぎるので
そのうちに日本では茶摘みをしてくれる人も
いなくなるんじゃないかという恐怖心があって、
将来の候補地を海外に探がす必要が起ったからです。
日本に外国から農業に従事する労働者を入れなければ、
茶畑が荒れてしまうので、
自分たちの方が海外に出て行って
日本茶を海外でつくる手を今のうちに打つ必要があるのではないかと
プロの人たちが心配するようになったのです。

というわけで、もう4、5年も前から
私は頼まれるままに静岡のお茶のメーカーたちを連れて
四川省から雲南省のお茶の産地に勉強をしに行くようになりました。
はたしてそんな可能性があるのか
私にとっては全くの未知数でした。


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2009年12月10日(木)

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