中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3588回
次は農業のグローバル化の時代です

世界中が注目している中で
アメリカのIT産業は見る見る成長産業として成長して
今日に至っています。
小さな会社だった頃は
どこもパーツをアウトソーシングに出せませんでしたが、
量がまとまると下請会社が成り立つようになります。
その頃、たまたま台湾人のスタッフたちは
注文を出す係りだったので、
商才のある人たちは自分たちが発注をする側よりも
注文を受ける側にまわったのです。

最初の頃は本社のすぐ側にないと安心ができなかったので、
パーツの下請会社はシリコン・バレーの周辺からはじまりましたが、
実績がついたのと、
量産と値下げの要求がとどまることを知らないので、
やがて勝手知った故郷に生産基地を移転し、
台湾の新竹市周辺に
IT専門の大工業団地が開発されるようになったのです。
いまでこそパーツの生産からはじまってパソコンを量産する
世界的なシリコン・アイランドと呼ばれるようになりましたが、
もとを正せば、中共の攻撃を怖れて
アメリカに留学したことがきっかけになっているのです。
「偶然が偶然を呼んで新しい仕事がはじまる」
と私がいうのは、
たとえばペニシリンの発見もそうだったし、
台湾がシリコン・アイランドになったのも
またとない好例だったからです。

ですから、日本の農地はすべて細分化されて
大規模農業には向いていないのは厳然とした事実ですが、
だから日本人に大規模農業は向いていないと
言い切ることはできないと私は思っています。
日本国内でできないならば、日本人が日本の外へ出て、
大規模農業に適したところで農業をやればいいのです。
現に早くからブラジルに移民して
ブラジルでコーヒーの栽培をした人もあるし、
小規模ながらハワイで農業に従事している人もいます。
しかし、グローバル化ははじまったばかりだし、
日本は食糧の大半を輸入に依存する時代が今後も続くのですから、
「日本の大規模農業は海外で」が
日本人有識者の常識になったとしても
少しも不思議なことではありません。
工業分野で日本人がやったことを農業の分野でやればいいのです。


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2010年1月5日(火)

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