中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3638回
家業は10年もたなくなったのです

サラリーマン資本主義が定着すると、
家業として大きくなった企業も家業ではなくなってしまいます。
家業が巨大化して上場企業にまでなってしまえば、
一部の大株主を除いて会社は
大衆株主の物になってしまいますから
上場企業に大冒険をさせるようなことは
もともと無理な話になってしまいます。

ですから上場会社になった企業は
創業者と次第にかかわりがなくなり、
1回か2回、社長が変わると、取引でもなければ、
全く縁もゆかりもない会社になってしまいます。
私のように創業者と知友になって
電話一本で親しく意思の疎通ができた上場会社でも
社長がかわってしまうと
何のかかわりもない存在になってしまうのです。
その点、台湾や香港や東南アジアにある華僑の会社に行くと、
ご本人がいなくても兄弟か息子でいて、
家族としてのつながりがありますから、
人間関係でつながります。

もっとも日本でも
上場企業にまでスケールが大きくならなかった企業は
いまでも家業として家族で運営されているので、
代が変っても話くらいは通じます。
その代わり世の中の移り変わりが激しくて、
家業そのものが成り立たなくなっているので、
代変わりどころか、同じ人が経営しても
はたして続けて行けるのか、
こちらが首をかしげたくなるようなことが起っています。

封建時代に家業が家業として受け継がれたのは、
世の中に変化があまりなく、
サムライの子はサムライを、
百姓の子は百姓を受け継ぐことができたからです。
経済学が教える社会現象を見れば、
世の中が大きく変わるのは
ほぼ60年に一ぺんくらいのサイクルでした。
それが資本主義の世の中になると、
「会社の寿命は30年」くらいにまで縮まりました。
企業の隆盛は人の働き盛りと同じくらい続いたので、
人は一生かけて働く仕事を見つければよかったのです。
ところが、最近はどうでしょうか。
人生は80年に伸びたというのに、
企業の寿命は逆に10年に縮んでしまったのです。
家業は子供が継ぐどころか、
一生もたせることさえ難しい時代になってしまったのです。


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2010年2月24日(水)

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