中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3647回
カーニバルは「踊る阿呆に見る阿呆」の典型

私がブエノスアイレスでパスポートを盗られ
30何時間、飛行機を乗りついで東京まで帰ってきたのは
もう20何年も前のことです。
20何年もたてば社会も大きく変わっているだろうし、
BRICsのトップにあげられて話題になっているくらいですから、
世相も大きく変わっているかも知れません。

そう思って、皆の要求するままに南米旅行のスケジュールを組み、
成田を出発する間際にはじめて
南米にドロボーやスリの多い話をしました。
それをきいてびっくりした人もいたようですが、
ブエノスアイレスでも、イグアスでも、リオでも、
またサンパウロやアマゾンのマナウスでも、
日本人のガイドさんたちの口から出てくる最初の言葉は、
金目の物やパスポートはすべてホテルの部屋の貸金庫の中に入れて、
街へ出る時は何も持たずに
シャツ1枚で出かけて下さいということでした。

リオに至っては海岸が夏の散歩道であることも手伝って、
ハダカで道を歩く人ばかりなので、
こんなところではユニクロといえどもお手揚げだろうなと
とても他人事とは思えませんでした。
私たちのリオ滞在中はちょうどカーニバルの真最中で
夕食後、一番いい席をとってもらって
ショーのオン・パレードを見せてもらいましたが、
その盛大さと陶酔ぶりには最初から最後まで圧倒され続けでした。
全部で6組に分かれての共演で1組に1時間半かかりますから、
見終わるまでに9時間かかります。
私たちは第4組まで見せてもらいましたが、
引揚げたのは午前2時すぎでした。
本当は自分だけでも居残って全部終わるまで見たかったのですが、
貸切バスの運転手やガイドさんの手前もあり、
やむなく引き揚げました。

それほど熱狂したお祭りであり、いい齢をした爺さん婆さんまで
行列の人たちと一緒になって
観客先で何時間でも踊り続けているのです。
「踊る阿呆に見る阿呆」の金メダルは
間違いなくリオのカーニバルだということを
嫌でも承認しないわけには行きません。
嘘と思ったら、24時間、飛行機を乗りついで
一ぺんおいでになって見て下さい。


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2010年3月5日(金)

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