中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3649回
単純ではない天然資源の開発

いまブラジルに世界中の注目が集まっています。
その理由はブラジルの経済成長が少しずつですが、
着実に上がるようになって
BRICsの仲間に数えられるようになったからです。
そうなったのは長い間四苦八苦してきた
インフレが鎮静化したことと、
鉄鉱をはじめ、アルミ、石油などの天然資源が
次々とお金になるようになったこととと、
広大な土地を利用した農産物が
外貨を稼ぐことになったばかりでなく、
トウモロコシやサトウキビからエタノールをとる
エネルギー分野が石油の暴騰に相乗りするようになったからです。

世界人口の増加と中進国の経済成長が目に見えるようになると、
食糧の不足と資源に対する需要の拡大は
誰でも理解することになりました。
そう言った意味では
世界の目がブラジルに注がれることに異存はないのですが、
過去長期にわたったインフレと政情激動によって、
海外からの企業進出が何回も中断しています。
日本からの海外進出にしてもトップは中国で、
ブラジルは印度やロシアやベトナムやタイに遠く及ばず
やっと6位に甘んじていると
銀行の調査報告書にも記載されています。

それが世界経済の新しい変化によって資源輸出国として
期待されていることに異存があるわけではありませんが、
国家事業として発展する場合、
もともと貧富の差の激しい国ですから、
開発の特権は政治とかかわったごく一部の人の手に握られていて、
1億9000万人の人口の大半は開発の手足として酷使され
「カーニバル」と「サッカー」によって
辛じて鬱憤の発散をするよりほかないのではないかと
心配になります。

そこがブラジルが日本や韓国や台湾とも違い、
また中国やタイやベトナムとも違うところではないかと、
現地を歩きまわって痛感したことです。
ブラジル資源の開発に対しては中国の進出が目立ち、
ブラジル政府が拒否していることが
くりかえし新聞に報道されていますが、
はたしてその通り素直に受け取っていいものでしょうか。
視察旅行中、何回も首をかしげる場面に遭遇したのです。


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2010年3月7日(日)

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