中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3655回
一にも二にもガマン、ガマン

繊維株や造船株や石炭株が
上場会社の主流をなした時代でも、
兜町に出入りする人が
未来の出世株にそっぽを向いていたわけではありません。
日本が経済の成長期に突入し、
次々と大へんな売上げをあげる会社が続出していたので、
私は四大証券の株式部長さんや
出世株をひいきにしていた中小証券の社長さんに
わたりをつけてもらって、
当時の成長会社を次々と訪問しました。

この頃、無名で今なら誰でも知っている会社には
三井不動産、千代田化工、東洋陶器、ミツミ電機、
樫山オンワード、リコー、パイオニア、日本ハムなどがあります。
当時としては珍しく朝日新聞社が私の「投資家読本」を、
また角川書店が「投資家のための会社拝見」を出版してくれたし、
「これが成長株だ」という対談集に至っては
恐らく成長株という言葉を
はじめてタイトルに使った本ではなかったかと思います。

今でこそ珍しくも何ともないタイトルですが、
何がその時代の成長株かは次々と変わっても、
株を買うならその時代の成長株に限るという考え方は
いまもそのまま生きています。
私の場合は、そういう株を探がし出してきて、
無名で世間からさして相手にされない時から株主になって、
3年や5年、場合によっては一生を賭けて
つきあってもよいという気持で長期持続をします。

無論、それがこちらの思い違いであったり、
経営者の見立て違いで失敗することもあります。
ところが世の中には今日買った株が
明日にも値上がりすることを期待した短気勝負の人が山ほどいて、
私が取り上げた株に提灯をつけたのはいいが、
辛抱しきれなくなって投げ売りをしたついでに
私のことをあしざまに罵る人もたくさんいます。
気に入らないならハイハイQさんなど読まなければいいのに、
なかには書くのはやめてくれという人さえいるのです。
思わず怒鳴りかえしたくなりますが、
でもこういう人たちがいるおかげで
株で儲けさせてもらえるのだと思えば、
ガマンのできないことでもありません。


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2010年3月13日(土)

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