中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3680回
シャッター通りはふえる一方です

もうかなり前のことですが、日本の人件費がかなり高くて
工業生産をやっても引き合わなくなったので、
労働集約的な生産工場が次々と海外に転出したことがあります。
日本の国が空洞化すると大騒ぎになりましたが、
そうした企業の生産工場は大抵、地方都市にありましたので、
地方で失業が始まると同時に、
地方の工場が次々と売りに出されました。

そんな空工場、誰が買うのかと頭をかしげていたら、
全国的な展開を夢見ていた大型スーパーが
安い値段でそれを買い取り、
超大型のショッピング・センターをつくりかえました。
折柄、マイカー・ブームで地方に住む人も
自家用車を運転して遠くまで買物に行けるようになったので、
自社スーパーのほかに、場所によってはデパートを誘致したり、
地元の小売店を集めて人の流れを大きく変えました。
駅前の商店街をシャッター通りに一変させたのも、
こうした動きがもたらしたものだと言われています。

ところが、日本経済の成熟化に国際的な金融不安が重なると、
地方のシャッター通りは
遂にショッピング・センターにまで波及してしまいました。
ガソリン代が高くなったのと、
マイカーが普及してエリート意識が失われたのとで、
土曜日曜でさえわざわざ車を運転して
ショッピング・センターまで足を運ぶ人が減り続けているのです。
黒字になる見込みのないデパートは中途解約を申し出るし、
客足の減った小売店は家賃が払えなくなって店じまいをします。
気がついて見たら、駅前をシャッター通りにした元凶が
シャッターをおろしにかかっているのです。

こうなると、消費客に比して店の方が多すぎることになりますから、
工夫をして生き残る店のほかは
店じまいをしてシャッターをおろすよりほかなくなってしまいます。
これからの日本人を相手にしてもちゃんとやって行けるだけの
創意工夫のできる店だけが潰れずに生き残り、
失業者とシャッター通りがふえ続ける運命にあるのです。


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2010年4月7日(水)

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