中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3681回
「年寄りの輸出」が日本の新商品に

私は今の日本では不景気が長期化して
地方都市のシャッター通りが長くなるだけでなく、
東京や大阪のような大都会でも
シャッター通りが誕生するんじゃないかと見ています。
既に日本は成熟社会に入っており、
どこの家も家中が衣料をはじめ、家庭用品で溢れ、
極端な言い方をすれば、食料以外は何一つ買わなくとも
3年間は生活に困らないところまで来ているのではないでしょうか。

そういう成熟社会に達しているのに、
一方で失業問題が次々と発生し、
その一方で人手不足が片づかない矛盾を同時に抱えています。
これは生活のレベルが上がって、
人々が仕事の選り好みをやるようになったからであり、
同時に日本人が外国からの移民に対して
どこの国にも見られないような拒否反応を続けているからです。

アメリカは移民が集まってできた国であり、
それに対して日本は移民を頑なに拒否してきた国です。
拒否をする理由は国によって違います。
ドイツのように戦後の経済成長期に
炭鉱労働者の不足を補うために
大量のトルコ人を受け入れたために
さまざまのトラブルに見舞われた国もあれば、
新しいトラブルを恐れて
最初から国境の壁を高くしているような日本の例もあります。

しかし、頑なに外国人をシャットアウトすると、
簡単に言えば、
下水の掃除をする人と年寄りの面倒を見る人がいなくなって、
社会生活が機能して行かなくなることが目に見えています。
私は20何年も前から、
「今に年寄りの面倒を見る人がいなくなる。
下働きをする人のいるところに年寄りの方が移民する時代が
必らず来るぞ」と言って、
タイやフィリピンの有望な候補地を下検分に行ったことがあります。
最近になってフィリピンから看護人材を入れる小窓が
やっと少しひらいた程度で、
まだ問題の解決には近づいていません。
日本が海外からの移民に拒否反応を続けるのなら
「年寄りの輸出」が日本のニュービジネスになることは
避けられないでしょうね。


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2010年4月8日(木)

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