中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3687回
中国の不動産はいま最大の話題ですね

人間は一つのことに成功すると
すぐ調子に乗って同じことをもっと手広くくりかえそうとします。
私の姉の亭主の会社がおかしくなってその土地を引き受けて、
もっとずっと大きなビルを建てて人に貸したのはいいのですが、
それから間もなく戦後最大のピンチに遭遇すると、
1階を除いて2階、3階、4階の店子が
一せいに解約して出て行ってしまいました。

銀行から借り入れをしており、
家賃が入らないと、約束した返済ができなくなってしまいます。
人と約束したことを守らなかったことは今までに一度もないので、
私は生きた心地もしませんでした。
いまならもっと図々しく構えるのでしょうが、
駈け出しの実業家としてはまだ初心だったのですね。

私が真っ青になっていると、私の姉が
「保証金なんかもらわないで、
安く貸せばいくらでも借りてくれる人がありますよ」
と私を慰めてくれて、借りる人まで紹介してくれました。
収入はうんと減ってしまいましたが、
銀行に返済することは何とかできるようになりました。
おかげでピンチは無事に通り抜け、
喉元が熱さを忘れると、
性懲りもなくもっと大きな仕事を手がけるようになったのです。

ですからその後も次々とビルを建てて、
一時は一角の不動産屋になれるのではないか
というスケールにまでなりましたが、
もともとが文章書きですから、政治犯として逃げまわっていた私に
台湾政府から帰ってもらえないかと声がかかると、
財産なんかどうでもいいやという気持になって、
不動産屋もどきの仕事は全部廃めてしまいました。
それでも前につくった不動産はそっくり残っていますから、
「不動産はどうなんだ」、
「不動産と株とどっちをどう考えたらいいのか」
といったテーマはそのまま残ります。
日本の不動産はどちらかというと斜陽化の方向に動きましたが、
成長過程にある中国の不動産をどう見るかという問題は
多くの人たちの大きな関心事であることに変わりはありません。
人にあうごとに一番よくきかれるホットな話題ですね。


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2010年4月14日(水)

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