中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3693回
運に賭けるより確率に賭けよう

では「何が成長株か」と探がす場合、
何を物差しにするかというと、
それは地域によって、またおかれた時代によっても違います。
50年前、経済成長がはじまったばかりの日本と、
成熟化して過剰生産と失業者に悩むいまの日本とでは
当然大きな違いがあります。

またやっと所得水準の向上が緒についたばかりの中国で、
これから成長する企業と
まだ低次元に放置されているインドやロシアとでは
成長企業に自ら違いもあれば、
成長のスピードにも違いがあります。
ですから何がその国の成長産業かということになると、
国によって違うし、また天気よりも激しく変化するので、
片時も目を離すことができません。

このコラムの場合は、さしあたり中国株で
この次の成長株は何かということに注目すればいいのですが、
10年前といまとでは
成長株の業種も銘柄もかなり大きく変わっています。
10年前、私は高速道路の株や家電製品、
ガラス・メーカーなどに注目しました。
高速道路は既に投資を終えていたのに、
自動車が数えられるほどしか走っていませんでした。
通る自動車の数がふえれば、
料金の取りっぱぐれはない商売ですから、
収入が大へんな勢いでふえ続けると思ったのです。
その後の動きを見てもわかるように、
1元か、それ以下の株価が
3元、5元と勢よく値上がりをして行きました。
またテレビとガラスのメーカーは
1年で資本金に相当するだけの計上益があったのに、
株価は額面そこそこだったのが
その後の値上がりを見たら、
昔のことが信じられないくらいの大きな変化でした。

それなら次は自動車じゃないかと誰でも考えたくなります。
確かに生産台数だけ見れば、
年に1400万台も生産されるようになれば、
自動車メーカーは大へんな成長じゃないかと思いたくなります。
もちろん、BYDのような例外もありますが、
これだけ生産量がふえれば、
値引きと商品の売れ残りで大へんなロスが生じます。
もちろん、いくつかの例外はありますが、
工業の豊作貧乏は脱落企業を生み出す生存競争です。
銘柄を選ぶのに運に賭けるのはかなり危険だと思いませんか。


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2010年4月20日(火)

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