中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3699回
成長株買いがはじまってまだ5、6年

証券取引所が開かれる前の中国では
私企業は認められていませんでしたので、
上場できるようなスケールの企業はすべて国営事業でした。
ケ小平が開放政府を提唱して
個体戸(個人営業)を認めるようになってから、
最初の頃は四川省あたりではじまった個体戸は
自転車のうしろに商品を積んで売りに行くのが精々でした。

ですから上場企業と言っても、
国営事業が衣装を変えて雛壇に上がったようなもので、
株を買ってくれた株主の方を向いているように見えても、
董事長や総経理はまだ役人の根性が抜けるどころか、
自分たちの任命権を持った
お役所の上司の方を向いて仕事をする人たちでした。
いい仕事をやっているかどうかは
やっている仕事が石油とか、製鉄とか、銀行とか、
国を代表する独占性の強い仕事であるかどうかにかかわっており、
下手をしても倒産しない代わりに、
見事な経営をしている民営企業ではありませんでした。

もちろん、国営企業の経営者の中にも
私心のない有能な人が皆無というわけではありません。
私は機会のある度に上場企業を訪問し
上層部の人たちと話し合う場を持ちましたが
私の得た印象から言うと、
10人に2人くらいはそういう有能な人材がいました。
これらの人々が経営をしてきた上場企業は
今では文字通り中国を代表する大企業となり、
それなりの好業績をあげています。

その一方で国営時代とさして変わらない
親方五星旗並みの経営を続けている上場企業も決して少くはなく、
独占企業であるにも拘らず、
お金も儲けてもろくに配当もせず、
人気離散している上場企業も捨てるほどあります。
従って有能なトップのいる企業と
そうでない企業の区分けをするだけでも一仕事で、
成長株どころの騒ぎではありません。
私が成長株の物差しを中国株市場に持ち出したのは、
民営企業出身の中小企業がやっと上場にこぎつけてからのことで、
まだ5、6年しかたっていません。
当りはずれも当然のことながら避けられません。


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2010年4月26日(月)

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