中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3703回
中国の成長会社にのめり込む

私がはじめて山東羅欣の製薬会社を訪問した時、
飛行機が臨沂の飛行場に到着したのは夜中の11時すぎでした。
まだ30才前の秘書室の若いスタッフが
私と私の秘書の上田尾君を案内してくれましたが、
ホテルまで行く車の中で、
私が会社の内容についてあれこれ質問をすると、
即座に答えてくれて、
会社の秘密に属するようなことまでスラスラと喋るのに
先ずびっくりしました。

「じゃ今期の業績もわかりますか」ときいたら、
「それはまだ秘密です」と答える代わりに
「詳しい数字は言えませんが、うちの会社はすべてオープンなので、
幹部はみんな知っています」
とパーセンテージまで口にするのです。
実は私がこの会社に注目したのは、
他の製薬会社と違って全国に販売網をつくりあげていて、
セールスがしっかりしていると思ったからです。
「あなたの会社の董事長さんは何をやっていた人ですか」
ときいたら、
薬のセールスマン出身で10年前に人民元2万元からスタートして、
いま何社かの会社の売り上げを全部合わせると
10億元になるまで成長しましたと明けすけに答えるのです。

部下がそんな具合でしたから、
翌日、会社に出かけて行って董事長さんにあうと、
すぐに打ちとけて、
何から何まで一切包みかくさずに喋ってくれました。
特に私が一番びっくりしたのは
会社の営業報告書に売上げに対して原価がいくらかまで
はっきり印刷してあって、
本当に原価は売上げの10分の1とちゃんと書いてあるのです。

製品が販売に間に合わないくらい営業ができているのは
セールスマン出身で販売網が如何に大切か
熟知している結果だということが私にもすぐわかりました。
ですからこの会社は恐らく毎年かなりの成長を続けるだろう、
とりわけ「薬九層倍」で利益もうんとあがるだろうと考えて、
今までに中国株の売買でやっていたような
ブレーキを取りはずして大胆に買いを入れたのです。
あッと気がついたら私は羅欣の大株主になっていたのです。


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2010年4月30日(金)

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