中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3707回
一にも辛抱、二にも辛抱、三にも辛抱

私はよく「株の儲けはガマン料」と言いますが、
株式投資で一番大切なことは
自分のやりたいことはやらないで、
自分のやりたくないことは思い切ってやるだけの
忍耐強さがあるかどうかです。
それのできない人は株で儲かる見込みは将来といえどもないし、
汗水垂らしてよそで稼いできたお金を
証券取引所の溝に捨てに行くようなものですから、
やめておいた方がいいのです。

でも男は自分に頭がないことはなかなか認めたがらないし、
女は自分が不美人であることをなかなか認めたがりません。
それと同じように株をやる人は老若男女を問わず、
なかなか自分に才能がないことを認めたがりません。
そのおかげで一握りの精神修養のできた人が
そうでない人たちの稼ぎを
ちょうだいするチャンスに恵まれるのです。

株式市場は広い海のように干満もあれば、波の高低もあります。
天候次第で大嵐にもなれば、航海日和もあります。
そういう海に乗り出して、
マグロをとるにせよ、クジラをとるにせよ、
一仕事して港に帰るまでにはかなりの時間がかかります。
乗客を乗せて目的地の港に辿りつくのだって
それ相応の時間がかかります。

それなのに株をやる人の中には
小金さえはたけばすぐにも参加できるせいもありますが、
間の抜けたせっかちが多いのです。
人が長い時間をかけて魚取りをしているのに
そばに来て「採った魚を早くこっちによこせよ」
と大声を張りあげるのです。
私が魚取りの名人だとしても
そんな人には魚を渡したくないですよネ。

株の儲けは1サイクル少くとも3年と私は思っています。
幸運にも3年を出でずして宝を積んで帰ってきてくれたら、
同じ船にまた荷物を預けて稼ぎに行ってもらいます。
リヴァプールを出発して東印度まで辿りつくのだって
かなりの時間がかかるのです。
ましてや新しく育つ出世株が一人前になるところまで
そう簡単に辿りつけるわけがありません。
株式投資は一にも辛抱、二にも辛抱、三にも辛抱です。


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2010年5月4日(火)

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