中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3708回
「亨泰」を見学して「これだ」と思ったわけ

もう10年近くも前のことですが、
「中国経済の将来は?」ときかれた時、
私は「株は10倍、人民元は1ドルが4元になると見ています」
と答えたことがありました。
当時の香港の新聞に
ビッグ・ニュースとして大々的に報じられましたが、
よほど印象に残ったと見えて、
今でも「邱永漢」というコラムを呼び出すと、
30何万あまりという私の関連記事の先頭のところに載っています。

中国株はもう5、6倍には達したと思いますが、
為替レートはダーティー・フロートが続いているので、
やっと6元台ですが、
恐らくまた近いうちに
新しい動きが皆さんの関心を呼ぶことになることでしょう。
人民元が強くなると、
輸出産業をやっている人たちは大変ですが、
輸入業者はホッと一息つくことができます。
とりわけ昨今のように
賃上げが時流になると国内消費がふえますから、
輸入業者にとってはまたとない順風になります。

そう思ってあちこち資料を調べていたら、
「亨泰」という加工食品の輸入を主とした
流通業の大手にぶっつかりました。
数字を追って行くと、
資本金の百倍も積立金があるし、
加工食品から生野茶に至るまで世界中あちこちから輸入して
主として広東省から上海地区、大連地区のスーパーから
小売店に卸しています。
利益も順調に伸びている様子で、
本社まで足を運んで根掘り葉掘り事業内容についてききました。

業績の伸びもかなりのものだったし、
中でも私が一番関心を持ったのは、
タイから野菜を冷凍して輸入していたのが、
市場開拓が進むにつれて、何も輸入に頼らなくとも、
国内で大規模農場を経営して自給すれば
もっと有利な経営ができるという結論に達して、
とうとう江西省で農場の買収と
直営に踏みきったことをきかされた時でした。

どうして私が魅きつけられたかというと、
次の中国で起ることは、
工業化が進むにつれて農村から工場へと人口の大移動がすすみ、
中国は必らず食糧の不足をきたし、
その自給に全力をあげる必要が起ると
私がかねてから痛感していたからです。
「これだ」と私はすぐにも直感したのです。


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2010年5月5日(水)

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