中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3711回
ワイン・ブームがはじまりました

いま私は中国のワイン・メーカーに注目しています。
中国人は日本人のような大酒飲みではなくて、
宴会でもない限り、
食事の時に酒を飲む人はそんなに多くはありません。
「斗酒をも辞せず」と唐詩選の中にも出てきますが、
中国人の1斗とは1升あまりのことであって、
1升の10倍のことではありません。
1升くらいの酒量なら平気な日本人はいくらでもいるでしょう。


その代わりお客をもてなすことになると、
中国人は必らずお酒の用意をします。
北方の人なら白酒という火をつけたら
燃えるようなアルコール分が50%に近い強烈な高粱酒を、
また南の方の人なら、
俗に老酒と呼ばれる紹興酒でもてなそうとします。
最近はビールが普及したせいで、
ビールでもてなすことも多くなりましたが、
ビールでは酔っ払わないので、
香港あたりではブランデーが
白酒や老酒の代わりにする時代がかなり続きました。

しかし、本当のことを言うと、
白酒やブランデーでは強烈すぎて
中華料理を引き立てる役割ははたせません。
またビールが大へんな勢いで普及しましたが、
ビールではいくら飲んでもほろ酔い加減にならないので、
食卓が最近のように豊かになると、
ワインを飲む人が少しずつふえ、
遂にラウンド・テーブルで宴席を囲むようになると、
ワインが宴会用の酒として定着するようになってしまいました。

ワインの中で最も有名なのが
山東省煙台でつくられる張裕のワインで、
これは戦後、
山梨県のワイン・メーカーが指導してスタートした企業ですが、
私は自分で何回も訪れたことがありますし、
考察団を引率して訪問したこともあります。
その頃は株価が10元足らずでしたが、
ワイン・ブームが全国的スケールで拡がりはじめると、
何と60何ドルまで買い上げられるようになって、
投資家たちがあッと驚きの声をあげることになってしまいました。
ワインは売れてお金になれば、
6割は儲けであることが広く知れ渡ってしまったのです。


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2010年5月8日(土)

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