中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3712回
張裕の後を追いかける王朝酒業

「葡萄の美酒、夜光の杯」と漢詩にも謳われているように、
ワインは中国でも歴史と共に長い伝統があります。
しかし、ワインのとれるところは沙漠のある西域が多く、
歴代の王朝が言うことをきかない異民族と
くりかえし戦争をやった地域の産物です。
ですから葡萄酒を飲む習慣は中原には普及せず、
ましてや庶民に親しまれることはありませんでした。

それが経済成長と共に少しずつ普及しはじめると、
新疆や雲南だけでなく、
河北省でも山東省でも葡萄酒づくりがはじまり、
山東省の張裕ワインだけでなく、
天津市にある王朝ワイン、
更には中国食品が売り出している長城ワインが
頭角を現わすようになりました。
長城ワインは他にも紹興酒などをつくっているので
専業メーカーと見なされていませんが、
王朝ワインはレミーマルタンが大株主になっているので、
ワイン・ブームがはじまると、かなり注目を浴びて、
遅蒔きながら、人気が集まるようになり、
株価も最近は2ドル台後半まで買い上げられています。
昨年は年に6千万本ほど売られ、
順調に売上げを伸ばしていますが、
1本23香港ドル平均で出荷されているものを
仮りに10ドル値上げするとしても
品質の向上に力を入れればいいわけですから、
コストの問題よりも技術の問題だということになります。

その点、レミーマルタンがついていますから、
2010年以後、品質の向上と増産が期待され、
株価の方はそれを見込んで先走りをはじめています。
と言ってもまだ2ドル台後半ですから、
張裕の60ドル台とは比べ物になりません。
ただワインは荒利が6割前後ありますから、
商圏が拡がり、営業が軌道に乗れば、
着実に下値を切り上げることが期待できます。
但し、それが業績に現われるまでに
かなり辛抱しなければなりませんので、
その覚悟がないと成果はあがりません。
逆に言えば、中国のワイン・ブームはほとんど確実に起るので、
息の長いことになれた人にとっては
安心のできる投資対象の一つであると見て
よいのではないでしょうか。


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2010年5月9日(日)

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