中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3713回
王朝酒業に追いつく通天酒業の大成長

張裕ワインの後を王朝酒業が追いかけはじめると、
そのあとから新規上場して、
王朝酒業を追いこす勢いで元気のよい通天酒業という
旧満州の通化にあるワイン・メーカーがあります。
あまりに元気よい上に出来高が多いので何事かと思って、
スーパーに同社のワインを何本か買って来てもらって飲んで見たら、
砂糖で味つけをした安い葡萄酒で、
思わず昔々の赤玉ポートワインを思い出してしまいました。
日本だって今でこそアジアでトップを行くワイン消費国ですが、
ついこの間まで似たようなワインもどきが横行していたのです。

ですから通天ワインをせせら笑ったら罰が当りますが、
何しろワインにコカコーラを混ぜて飲む人がいるお国柄ですから、
驚く方が中国の国情を知らないことになります。
一番安いのが1本たったの6元(90円)ですから、
そんな安い酒で利益があがるのかと首をかしげたくなりますが、
人口が13億もいて、どんな貧乏人だって
円卓を囲む時はワインを空けるようになったのですから、
安いワインは安いなりに
同じような利益率をあげると見てよいでしょう。
この会社の荒利率は57.9%、純利益率は29.8%で、
王朝酒業の51%、10.5%とには雲泥の差があります。

しかも無借金で今年、新規上場して7億元あまりの現金をつかみ、
今期は生産量を1.9万トンから
3.9万トンへと倍増する計画ですすんでいるので
計上益は1.74億元から2.12億元と
22%の上昇を見込んでいると発表しています。
赤玉ポートワインがちゃんとしたワインに改良するまで
品質的には王朝ワインに遅れをとることは
先ず間違いないでしょうが、
どちらが早くより多く稼ぐかということになると
通天酒業に軍配があがるのではないでしょうか。

ということになると、
「追いつけ」、「追い越せ」というよりは、
どちらに応援の声が多いかによって
株価の追い駈けっこが
これからはじまると見てよいのではないでしょうか。
但し、中国のワインは紅白合戦ではなくて、
同じ紅同士の競争ですが。


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2010年5月10日(月)

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