中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3717回
市況株を買う人は先ず市況の勉強から

工業化に成功した国とそうでない国は豊かさに大きな差が生じます。
資本も資源もなかった日本が
工業化に成功して豊かな国になったのを見て、
世界中が工業化を目指すようになりました。
そうは言っても、
日本の真似をして工業化のできる国とそうでない国が
かなりはっきり分かれます。

いわゆるBRICsの国々は
なかでも工業化が進んでいる新興国と見られていますが、
いずれも領土と人口の多い国々ですから、
それぞれに資源に恵まれています。
しかし、資源の開発の進んでいる国もあれば、
資源の開発だけが先行して工業化が遅れている国もあります。
工業化が先行している国では、
資源があっても自国の資源だけでは足らなくなり、
早くも資源の獲得と開発に血道をあげています。

その最先端を走っているのは何と言っても中国であり、
中国は他の国々に比して工業化が進み、
なお且つ輸出によって莫大な外貨を稼ぐようになったので、
その外貨を利用して
世界中の資源にいち早く唾をつけるようになりました。
日本人は自分らの経験から
「お金さえ出せば資源はいくらでも手に入るさ」
と確信しているので、
いち早く手に入れた外貨は
その大半をアメリカの国債の購入にあて、
寝ていても利息の稼げる横着な選択をして
今日に至っています。

それに対して、何しろ製鉄能力だけでも
たちまち日本の5倍に到達してしまいましたので、
自国の鉱山だけでは間に合わなくなり
資源の獲得をする必要に迫られているのと、
もう一つは誰が見てもドルの崩壊は目に見えていますので、
ふえ続けるドルを投資資本として
世界中の資源獲得に活用する方向で血眼になっています。
そのスケールの大きさから言って
鉄鉱石の価格決定戦は日本から中国に移ってしまったので、
日本の製鉄会社は文字通り市況産業としての動きに
左右されるようになってしまったのです。
株を買う人は
成長力よりも市況を読む必要があるようになりましたが、
あなたは大丈夫ですか。


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2010年5月14日(金)

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