中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3719回
外貨準備は国際投資の資金に化ける

中国の政府企業がアメリカの石油会社ユノカルの買収申請をしたら、
アメリカの議会で大問題になり、結局、否決されたことがあります。
国防的な見地からということでしたが、
この会社の利権はほとんどアジア周辺にあり、
またそれだからこそ中国が食指を動かしたのだと思います。

しかし、次から次へと中国が資源確保の手を打っていることは
今や衆知の事実であり、
やがてアメリカ政府の手の届かない所は
ほとんどが中国企業の傘下に入るだろうことは目に見えています。
たとえば、ブラジルのアルミ会社が
政府の意向で中国企業の資本参加を拒否しましたが、
それで結着したわけではありません。
私が見ると、
「その程度のお金では少なすぎるよ」と言っているだけのことで、
いずれまた全く別の動きになって
企業はおさまるところにおさまるのではないでしょうか。

現にいま何が起っているかというと、
アメリカの垂れ流しているドルの洪水は、
アメリカの国債に還流して
アメリカのインフレを促進する方向にではなくて、
まだ世界中で物を買う資金として使えるので、
世界中の資源や企業の買収に
動員されるのではないかということです。
今ならどこの国もどこの企業もドルを受け入れるので、
中国に次々と積み上げられるドルは
中国にとって将来、役に立つ事業に
積極的に投入される方向にあるということです。

気がついて見れば、
アメリカの国債を買うお金が山と積み上げられるのではなくて、
世界中の将来、役に立つ資源や企業のみならず、
アメリカを代表するような資産価値のある企業の持主が
アメリカから中国の政府や企業の手に
移って行くだろうということです。
中国人は債券を買うよりは
資源とそれを加工して付加価値をつける手段に価値を認めますから、
かつてアメリカ政府及びアメリカ人の支配下にあった
財産価値のある手段が
持主を変える方向に動きはじめるということです。


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2010年5月16日(日)

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