中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3720回
いよいよチャンピオン交替の時期が

物を外国に売ってドルを稼ぎはじめると、
どこの国も貯まった外貨でアメリカの国債を買って
外貨準備としてまさかという時に備えます。
ドルならどこの国の通貨よりも安全だし、
何もしなくとも利子をもらえるので、
どこの中央銀行のトップも横着を決め込みます。
日本などはその典型で、
「資源はお金を出せばいくらでも手に入るものだから、
よけいなことに手を出さない方がいい」とばかりに、
有り金の大半をアメリカの国債の購入にあてています。

しかし、アメリカの国債は、
アメリカの政府がお金儲けに使って稼いでいるのならいいのですが、
国も国民もお金の使いすぎで不足する分を
お札を印刷して補っているのですから
自転車操業がとまってしまったら、ぶっ倒れてしまうやり方です。
国だからそんなに簡単にはぶっ倒れないと言いますが、
潰れるまでに時間がかかったとしても、
潰れそうになる度にドルの値打ちが下がります。
その度にドルの切り下げがあるのですから
アメリカの国債を持っている国は大へんな目にあわされます。

日本人だってそのくらいのことは承知しています。
「しかし、その時はまたその時のことさ。
何とかなるだろう」とタカをくくっています。
そのへんが日本人と中国人の大きく違っているところです。
中国政府は既に日本の倍以上の外貨を持つようになり
アメリカの国債もかなり仕込んでいますが、
もうこれ以上買ったら大へんなことになると戦々恐々としています。

ドルは目減りする方向に動いていますが、
今のところはまだ物を買うのに使えるお金です。
それを使って世界中の欲しい物は何でも手に入れることができます。
さしあたりは中国が必要とする資源を手に入れるために使えますが、
資源を加工する技術や企業を買収するのにももちろん使えます。
恐らくこれから10年の間に、皆さんが見ている前で、
中国政府及び中国人が
世界中の生産手段を買いまくる時代が
はじまるのではないでしょうか。
いよいよチャンピオン交替の時期が来たのです。


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2010年5月17日(月)

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