中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3735回
中国はいよいよ自前で消費経済の時代に

ことしの正月、上海、成都、昆明、騰冲と
中国を横断する旅行をしましたが、
今までにない新しい体験をしました。
開放政策がはじまって20年、4つの経済特区をつくって
社会主義市場経済の実験をはじめた時期も入れると、
30年の歳月がたちましたが、
やはり時の動きは争えないもので、
中国にも世代交替の時期が来たんだなという光景に
あちらこちらでぶっつかりました。

人民共和国ができる前も、もちろん、そうですが、
共産国家になってからずっと貧乏生活が続いたので、
40才から上の人はほとんどが倹約を強いられて生きてきました。
ですからちゃんとした職にありついて、
3度のメシが食べられるようになっても、
大抵の人が貯蓄に走って
散財する人など見かけたことがありませんでした。

ところが、ことしの正月は次々と違う場面にぶっつかったのです。
暮れも新正月もレストランもデパートの中も人で一杯でしたが、
観光地のホテルも、 一人だけの子供を連れた夫婦で溢れていました。
この1、2年、世界的な金融不安で、
欧米も日本も今一つ冴えない日々が続いていますが、
中国は人出不足もあってサラリーはふえる方向にあるし、
政府が奨励していることもあって、
不動産も自動車もとぶような売れ行きだったし、
不景気どこ吹く風かという好況が目立っているのです。

いままで輸出によって外貨を稼ぎ、
それで所得水準をあげてきたのが、
今年の正月を一つのくぎりとして、
中国は自分たちがつくり出した付加価値を
自分たちが分けあって消費することによって、
更に付加価値をふやして行くことのできる体制に入ったのです。
それはかつての成長期に日本経済が体験したことですが、
この見方に間違いがなければ、
これからの10年、あるいは20年は
消費が生産を押し上げると見てよいのではないでしょうか。
日本を追い越すといっても、中国の場合、
一人当りの所得はまだ日本に遠く及びませんが、
新しいビジネスのチャンスはいくらでもあるということになります。


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2010年6月1日(火)

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