中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3749回
人手不足は中国の予定のコースです

いま中国では人手不足がますます深刻になって、
工場でもサービス業でも下働きをする人に辞められると、
あとの人を見つけるのが難しくなっています。
とりわけ沿海地域は
内陸からの出稼ぎ労働者でそれを補ってきましたが、
内陸にも次々と工場ができて、
沿海地域に負けないだけの給料を払うようになると、
何もわざわざ深や広州やあるいは上海や北京まで
出稼ぎに来る必要がなくなってしまいます。

ですから三大休み、わけても旧正月に田舎に帰った従業員たちが
休日明けに帰って来なくなると、
工場で働く人がいなくなることが
この2、3年目立つようになっています。
賃上げをして対応のできる業種ならまだ何とかなりますが、
広東省や浙江省などで労働集約的な輸出産業に従事している企業は、
海外からの値下げ要求と従業員の賃上げ要求の鋏み打ちにあって、
台湾などから進出した企業の経営者は
この2、3年の旧正月は生きた心地もしないと言われています。

でも工業が発展すれば、こういうことが起ることは
日本でもかつて経験したことです。
賃上げに応じなければ、会社がやって行けなくなるのですから、
コストダウンのための合理化を工夫するか、
合理化ができなければ、
会社ごともっとコストの安い地域に
引越しをしなければならなくなります。
またそうすることが人々の生活レベルを引き揚げ、
人々を更に豊かにし、経済を発展させることになるのです。

経営に従事する人にとっては頭の痛いことですが、
それができなければ、企業そのものが淘汰されることになります。
海外から進出した企業にして見れば、
折角、コストの安い地域に進出したのに、
改めてもう一回コストダウンの努力をしなければならなくなる上に、
地元で競争相手として成長した現地企業とも
互角に競争しなければならなくなります。
いままさにそうした生存競争の火中に入ったところですが、
中国経済の成長過程で必らず起ることが起ったということです。


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2010年6月15日(火)

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