中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3750回
工業化は中国が選んだ富者への正しい道

中国の工業化のプロセスで
海外から進出した外国資本の企業や華僑資本、
台湾資本の企業は大きく役割をはたしています。
もしこれらの企業が進出して来なければ、
資本もなかったし、技術もなかったし、
何をどうつくっていいかも中国人にもわからなかったのです。

農業なら昔から中国にありましたので、
外国人から教わらなくとも、自由市場をつくっただけで
生産を刺激することができました。
その代わり技術的な進歩が遅く、お世辞にも中国の農業が
他の農業先進国と競争できるレベルに達したとは言えません。
その点、中国の指導者たちは、
工業生産は先輩に教えてもらわないと
覚えるだけでも大へんなことだとわかっていたので、
4つの経済特区をつくっただけでなく、
海外からの資本進出に対してさまざまの優遇措置を講じました。
10何年たってその成果が現われた時、
ケ小平が開放政策を打ち出して全国に500カ所も工業区をつくり、
競って海外企業の誘致に力をあげたので、
僅か20年という短い間に中国は
「世界の工場」として飛躍的な大発展を遂げたのです。

私もその片棒を担いだ一人ですが、
合肥市につくった日立建機の工場の5周年式典の時に
工場で働く中国人の人たちに、
「皆さんの中には外国人が我々のお金を稼ぎに来た
と思っている人がいるかも知れませんが、それは間違いです。
皆さんがお金持ちなら
皆さんのお金を稼ぎに来たことになりますが、
皆さんはまだ貧乏なんですから、
外国の人が来て何もないところからお金を稼ぎ出して
分けあっているというのが正しいのです。
資本を出している側の分け前が多いことは事実ですが、
分け前の多い側はまだもっと儲かると思えば、
儲けたお金だけでなく、日本のお金をもっと持って来ますから、
皆さんはもっと金持ちになり、
もっといい生活ができるようになると考えて下さい。」
とスピーチをしたことがあります。
どこまで理解してもらえたかわかりませんが、
現地資本の建設機械の会社だって
あれから10社と言わず誕生したのですから。


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2010年6月16日(水)

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