中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3764回
13億の国内市場がメイド・イン・チャイナの練兵場です

中国の工業生産は
やっと成長期の第一段階を終わったところですから、
商品の輸出をやって
スケールの大きくなった企業はたくさんありますが、
ソニーやキヤノンやトヨタのように
世界中に名の知れた大企業はまだ出現していません。
今後、オリジナルな成長を
とげて同業他社を追い抜く企業ももちろん、出現するでしょうが、
それはまだこれから先のことになると思います。
従って次の世界的大企業はどこだと血眼になって探がすのは
まだまだ先のことです。

日本の場合だって、池田所得倍増内閣の頃は
猿真似、人真似、綱渡りとあざ笑われたものです。
しかし、先輩国の真似をして人より安く、
人より良い商品をつくる努力を続けたおかげで
メイド・イン・ジャパンは
世界中から認知されるようになったのです。
1億人あまりの国内市場は
そうした商品の実験にはもって来いのスケールの商品練兵場で、
カメラでも腕時計でも電気製品でも
先ず国内練兵場で試めして見て、さまざまの欠点を改善してから、
海外へ輸出されるようになったのです。

繊維製品や靴や鞄の類いは
そうしたトライアルをさして必要としませんが、
家電製品や自動車や携帯電話になると、
いきなり海外市場を狙うわけには行きません。
従って日本がやったのと同じことを
中国の企業も先ず国内でくりかえし修正をやってから
海外市場を狙うことになります。
既に家電製品ではそうした創意工夫によって
海外市場どころか、日本市場でメイド・イン・ジャパンと
互角の競争のできるところまでこぎつけています。

しかし、大半の工業製品については、
まだこれから13億の国内市場で
トライ・アンド・エラーのくりかえしをするところです。
そのための資源の確保と生産技術の取得が
これから本格的にスタートするのです。
ですから技術の買収がやっと緒についたとしても、
海外に進出する世界的な企業の誕生には
まだ程遠いと言ってよいでしょう。
とりあえずは国内で大成長をする企業はどこかに目をつけて下さい。


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2010年6月30日(水)

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