中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3771回
中国の自動車株に手が出せないわけ

前にも書いたことがありますが、
日本でマイカー・ブームがはじまった頃、
自動車メーカーに人気が集まり、
自動車株を買う人が少くありませんでした。
でも自動車株はいまよりもっとたくさんありましたから、
はたしてどの株を買ったらいいのか、
誰にもわかりませんでした。

いまならトヨタか、ホンダのどちらかを買えばよいのですが、
プリンスもあったし、いすゞも乗用車をつくっていたし、
マツダはロータリー・エンジンにまだ手もつけていませんでした。
反対にホンダはただのオートバイ・メーカーだったのです。
それでも自動車ブームになることはわかっていましたし、
自動車ブームになれば、
町中が渋滞になることはもっとはっきりしていました。

日本地図を頭に浮べればすぐにもわかる通り、
日本は地形は縦に長く、車を走らせれば、
すぐに山にぶっつかるし、
山を越えればすぐに川にぶっつかります。
ですから私は自動車ブームになればトンネルを掘ったり、
橋をつくるようになる筈だからと考えて、
佐藤工業や宮地鉄工の株を買うように
週刊誌でとりあげました。
そうしたら次から次へとストップ高になり、
1年で私の小さな財布は25倍にもふくれあがり、
おかげで渋谷に
地下一階地上四階の小さなビルを建てることができました。
株で儲けて建てたビルですから、
私は「マネービル」という名をつけたことがあります。

半世紀近くたって、
同じことがいま中国で起っています。
去年は1400万台も自動車が売れましたが、
今年は2000万台になるんじゃないかと言われています。
自動車メーカーも何十社もあって、
どこも増産増産で景気のいいニュースが伝わってきます。
でも値引き競争も激しいし、
売れ残ればそれが業績に悪影響をもたらします。
不動産なら売れ残っても次のブームの時に
もっと高く売れる可能性がありますが、
工業製品ですから、うっかりするとお荷物になってしまいます。
その中から中国のトヨタと
ホンダになるメーカーがどの会社なのか、
全く見分けがつきません。
私が年ばかり食って自分の視力に自信が持てないせいもありますが。


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2010年7月7日(水)

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