中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3772回
グローバル化時代の自動車ブームの盲点は?

どの自動車メーカーが中国のトヨタになるのか、
また中国のホンダになるのか、
いまのところ全く見当がつきません。
日本のトヨタもホンダもそのレースの中に加わっているのですが、
技術は日進月歩ですから、
あと10年20年たつうちに思いもかけなかった結果が出てくることも
大いにあり得ることです。

電気自動車が大勢を決するかも知れませんし、
エタノールがガソリンにとって代わることも
あり得ないことではありません。
でも中国の石油の消費量は既に日本を追い越して
アメリカの半分に達しています。
石油だけではありませんが、
中国は資源の確保と運搬に血眼になっています。
そのためにアメリカと張り合うことになることを百も承知で、
中国はアメリカが目の敵にしている北朝鮮やミャンマーや
イランやアフリカの国々に目をかけています。

たとえばイランが供給できる1日600万バレルの原油を
中国は一手に引き受けることができます。
問題はどうやって運ぶかです。
中東やアフリカで資源が確保できても、
運搬船でマラッカ海峡を通ろうとすると、
そこに軍事施設をつくっているアメリカに
邪魔される心配があります。
それを避けるためには、イランからパキスタンまでパイプで輸送し、
そこからパキスタンの領土内を通って中国までつなぐ
オイル・パイプと天然ガスの輸送パイプが絶対必要になります。

更に資源の開発でいま中国が熱中しているアフリカから
中国本土は石油や天然ガスを輸送するとなると、
船でミャンマーまで運んで、
ミャンマーの内陸を通って雲南省まで到達する
パイプ・ラインが必要になってきます。
どちらも石油の消費量が大へんな勢いでふえている中国には
なくてはならないものですから、
もしかして自動車ブームで中国で一番必要なものは、
国内ももちろん、必要ですが、
産油国から中国までをつなぐ
国境をこえたパイプ・ラインではないでしょうか。
ふと思いついてよく考えて見ると、
まだ投資家の人たちがほとんど気のついていない
グローバル化時代の大きな盲点ではないでしょうか。


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2010年7月8日(木)

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