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第3774回
勝利管道を投資対象に選んだ理由

企業の決算報告書や業績を見る場合、
私が一番重視するのは、過去3年にわたる売上げと利益の推移です。
もちろん、どんな業績で
これからどんな展開をする企業であるかも大切なことだし、
1株当りの利益がいくらで、
それに対して毎期いくら配当をしているか、
更に配当に対して株価がいくらで、株価収益率は何倍くらいか、
株式投資をやっている人なら誰でも心得ていることも、
一応は調べます。

更にいよいよ株を買うことにしようということになると、
一番大切なことは不渡りを出したり、
倒産に追いこまれないことですから、
資本金に対して積立金はいくらくらいあるか、
更には常時、負債に対して
現金をいくら手元において事業を経営しているかも
一通りわかっていないと安心はできません。

ですから、勝利管道と珠江鋼管と2社並べて見て、
ざっと決算報告と財務内容を調べて見ると、
株価は前者が1.7ドルに対して後者は5ドル台、
1株当りの利益が0.35と0.60ですから
(但し、この数字は不正確だという異見もあります)
利廻りにそんなに大きなひらきはありません。
ただ、業績と計上益を見ると、
勝利の2008年度の売上げが10億7000万元、計上益が1億4800万元、
それに対して2009年度は売上げ30億元、
計上益が3億3500万元に伸びているのに対して、
珠江鋼管は2008年の売上げ26億2400万元、計上益3億1800万元が
2009年度には売り上げ28億2000万、計上益4億6500万元と
大した伸びを示していません。

恐らく仕事はどちらとも手一杯で、
伸び率と利益率がほぼ同じスケールで上昇しているとすれば、
新規に投資するとなれば、前者に軍配があがります。
両者とも本社はカイマン群島にあって
実務は香港の総本部でとっていますから、
更に詳しい内情を知りたければ、
香港の本部と接触する必要があるでしょう。
しかし、この仕事は国の政策に大きく左右される仕事ですから、
それ以前に中国政府が何を考え、
どういう方向に政策を展開しようとしているか、
理解する必要が先決だということになります。


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2010年7月10日(土)

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