中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3792回
成都が日本を代表するショッピング・センターに

リトル・トウキョウの小型模型を私は先ず成都につくりました。
成都市長に頼まれて市の中心部に
イトーヨーカ堂を誘致することからスタートしたのですが、
それは伊藤雅俊さんが私の言うことに耳を傾けてくれたからです。

大抵の人は中国ときくと、
すぐに北京と上海を頭に浮べます。
流通業やサービス業とかかわりのある人なら、
店づくりをするのに先ず北京か上海を選びます。
それはそれで間違いではありませんが、
中国で人口が1千万人を越える大都市には
ほかに重慶、天津、成都があります。
重慶はのちに四川省から分離して
3千万の人口を擁した大都市になりましたが、
天津と成都は地方にある大都会で、
歴史もありますが、
消費市場としても北京や上海に劣りません。
物を売っても北京や上海に劣らない値段で売れるのに、
家賃や人件費はうんと安く、
しかも競争相手はそんなにたくさんはいないのです。

伊藤さんが私の言うことに耳を傾けて
一号店を成都からはじめてくれたので、
あれからもう12年もたってしまいましたが、
いまでは成都にある4軒の支店のうち
3軒が全くイトーヨーカ堂の売上げの中で、
1位と2位と7位を占めています。

ヨーカ堂に隣接して伊勢丹の成都店が4年前に誕生しました。
伊勢丹は日本を代表する高級百貨店で、
売っている商品の値段もスーパーに比べて格段に高いので、
私は採算に乗るのに3年はかかるだろうと予想しました。
はたして1年、2年は低空飛行でしたが、
3年目になると売上げが5割も上昇し、
4年目の正月の売上げが前年比倍という業績になりました。

日本のトップ業者が並んだ一帯は
今や成都市のショッピング・センターになり、
ふだんでも朝から賑わっていますが、
土曜、日曜、翌日になると、
店の前の広場も人が通れないくらい混雑するようになりました。
そこへユニクロが店を構え、
最初はイトーヨーカ堂の中からスタートしましたが、
忽ち入りきれなくなって
お向かいに大きな店を構えるようになりました。
あッという間に成都が
日本企業を代表するショッピング・センターになったのです。


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2010年7月28日(水)

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