中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3798回
中国の銀行はマンモス化の方向に

これから中国の海外投資はグングンふえる方向にあります。
それを国家の機関が直接やる場合も当然ありますが、
そういう場合でも人民銀行にある外貨を
命令一本で持ち出すわけには行きません。
もともと外貨がたまったの
は民間企業が輸出をして稼いだものであり、
それを政府が使おうとすれば、
国債を発行してその分だけ人民元を回収しないと、
政府が人民のお金を
無断に使い込んだことになってしまうからです。

でも実際にそういう外貨の使われ方はあり得ると思います。
ただそれを無制限にやると猛烈なインフレになってしまうし、
民間が自分たちの外貨を使おうとする時に、
政府が支払えない状態になってしまいます。
ですから民間企業が海外投資や海外資源の買収をしようとすると、
民間企業が大規模な増資をするか、
銀行が資金を民間から調達して民間企業に融資することになります。
農民銀行がかつての香港上場銀行の資金調達と
比べ物にならないほどの大規模の資金調達にふみきったのは、
銀行がそうした必要に迫られるようになったからだと
見てよいと思います。
従ってもし農民銀行が増資という形の資金調達に成功したら、
既に上場している他の銀行も
それに右へならえをくりかえすことは避けられなくなります。

中国じゅうの大型銀行が
上場企業のそうした海外投資資金の調達に応ずるとすれば、
銀行の資金調達のスケールは今日の10倍にも、
あるいはそれ以上にもふくれあがることが考えられます。
国家並みのスケールと言ってもよいでしょう。
そういうスケールになった金融機関が
好景気の波に乗って大金儲けができるよりは
「大の男、総身に知恵まわりかねて」
不景気に対応できなくなると考えた方が
いいのではないでしょうか。

最近、銀行株に人気がなくなっただけでなく、
株価が定位置に釘づけになったまま動きが鈍ったのは
決して偶然ではないのではないでしょうか。
中国では銀行が国のやる役割をはたす方向に向って
動いていると私は解釈しています。


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2010年8月3日(火)

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