中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3805回
スキマを発見して埋めた人が次の大富豪

俗に「三刀」と言うように、中国人が海外に出稼ぎに行く時に
身につけて行く職業は料理の庖丁、床屋のカミソリ、
それに裁縫のハサミと相場がきまっていました。
資本を持たない中国人がメシを食って行ける仕事は
そのくらいしか考えられなかったのです。
逆に言えば、この3つが
中国人の最も得意とする仕事だったということもできます。

日本の高度成長が頂点に達して人手不足をきたし、
毎年、賃上げで企業が悩まされた時も
日本の国は海外からの移民を頑なに拒否し続けたので、
物価高に悩まされた上に、コスト高に追い込まれたので、
労働集約的なパーツの生産や加工は
少しずつ海外に移動するようになりました。
なかでも縫製加工と言った
手間のかかる仕事がその先端を切ったことは
皆さんもご存知の通りです。

日本と中国とでは人々の生活のレベルも違うし、
着る物に対する趣味嗜好も違うので、
いくら値段にひらきがあっても
中国の衣料をそのまま日本に持ち込んでも商売にならないし、
その逆はもっと困難でした。
その点、食料は品種や味覚に多少の違いはあっても
基本的に同じ作物ですから、
品物の移動は先ず食べ物からはじまります。
衣料品の価格差は日本が中国の3倍ですが、
肉類は6倍、野菜類は10倍の差があります。
但し野菜には農薬の問題からはじまって
鮮度や味覚などさまざまのハンディキャップがありますから
そんなに簡単に事は運びません。

と言って衣料品なら大丈夫かというと、
趣味嗜好の差はもっと大きいので、
いくら値段に3倍のひらきがあっても
中国で生産された物をそのまま日本に持ち込んで
通用する可能性は全くありません。
日本人の好みにあったデザインや品質の商品を中国に持ち込んで
日本の3分の1のコストで加工することに成功した人が
このスキマを埋めることになるだろう。
だからユニクロがこのスキマをうまく埋めることができたら
柳井さんはきっとこの次の日本で産をなす人になるだろうと
私は早くから注目していました。


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2010年8月10日(火)

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