中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3806回
中国人は日本人よりブランドマニアです

もちろん、繊維加工を中国でやることに気づいたのは、
ユニクロの柳井正さんだけではありません。
日本国中で衣料品メーカーとして名のある企業は
少しずつ加工基地を中国に移し、10年もたったら、
どこの製品の裏をひっくりかえして見ても
メイド・イン・チャイナと
表示されているようになってしまいました。
頑なに日本国内だけに固執した業者は値段で競争ができなくなり、
気がついて見たら日本のファッション・メーカーの製品の
8割から9割までが発展途上国で加工されるようになっています。

日本の大半の衣料品メーカーは
日本でデザインした物を中国で加工していますが、
製品はすべて日本に持ち込み、中国では販売していません。
販売する価格も違いますが、
趣味嗜好のレベルにも違いがありますので、
中国で売っても売れないと日本のメーカーは、
スタートする前から堅く信じ込んでいるのです。

でも日本のデザインには1日の長があり、
中国でそれを売れば
買いたがる人もあるのではないかと私は考えました。
ですから衣料品を手がけている若い人たちに、
中国で中国人相手の商売をしている日本のデパートやスーパーに
売り込みに行ったらどうだとけしかけたこともあります。
それは残念ながら実現しませんでしたが、
後にデパートの現場の人にきいたら、
実際に日本向けの衣料品を上海や北京で並べても、
それに反応する中国人のお客はほとんどなかったそうです。

ですから中国製の日本メーカーの製品は
中国では商業にならないというのが玄人筋の常識でした。
それがオリンピックを境として少しずつ変化し、
上海の万博がはじまって全国的に賃上げ斗争がはじまると、
流行の風向きが大きく変わってきました。
中国人は値段に敏感で、
流行とかブランドには鈍感だというのは過去のことで、
払えるだけのお金があるようになると、
日本人に負けない、
あるいは日本人以上のブランド嗜好であることが
次第にはっきりしてきたのです。
商売熱心な日本人は頭の切り変えをする必要があります。


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2010年8月11日(水)

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