中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3810
新しいブランドづくりは国内より海外で

日本に観光旅行に来た中国人の団体客が
日本製の粉ミルクや炊飯器をドッサリ買って帰るのを見ても、
メイド・イン・ジャパンは、私たちが想像している以上に、
中国人の間に人気があることがわかります。

そうした日本製品をお手本として
大へんなスピードで成長したのが中国の家電メーカーで、
あッという間に中国市場を席捲してしまいました。
現地に進出した日本メーカーのお株を奪っただけでなく、
日本製の冷蔵庫や洗濯機の欠点を研究して改良した製品を
日本製より安い値段で日本に売り込んでいます。
たとえば、日本の冷蔵庫は冷凍スペースが小さく、
昨今のように冷凍食品を買って来て
自宅で貯蔵することが多くなるとすぐ一杯になってしまいます。
日本のメーカーは一ぺん形がきまると、固定観念にとらわれて
なかなか改造に踏み切れませんが、
後発の中国メーカーは日本製の欠点をよく研究して
冷蔵と冷凍のスペースを逆転させた製品をつくっています。
それを日本に輸出して
町の安売り家電店で立派に競争ができています。

そういった意味では油断のならない競争相手ですが、
何と言っても日本のメーカーは中国のメーカーの大先輩であり、
先生でもあります。
そのくらいのことは中国の消費者も百も承知ですから、
冷房器からパソコンまで日本製は高い評価を受けているのです。
その分だけ日本企業が
現地に進出して生産するメリットがありますが、
信用されているのは工業製品だけではありません。
粉ミルクが実証しているように、食料品の加工についても、
日本人は手抜きをしたり、材料をごまかしたりしないと
堅く信じられているので、
日本のブランド商品が
そのまま中国で受け入れられる可能性が高いのです。

それも日本人がつくっているというだけで信用されるのですから、
ひょっとしたら新しいブランドづくりは、
日本でやるより中国でやる方が
成功の確率が高いのではないでしょうか。


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2010年8月15日(日)

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