中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3812回
円高は海外投資のまたとないチャンス

これ以上円高が続いたら、
日本の産業界は日本国内で生産をやって行けなくなります。
現に日本の自動車業界は、
最初は製品を買ってくれる国で
生産することからスタートしましたが、
やがて労賃が安くて
コストがかからないで生産のできる国に工場を移すようになり、
昨今のように円高が続くと、
外国でつくった物を
日本に持って帰って売ろうかという考え方になっています。

実際にグローバル化がもっとすすめば、
国そのものがなくなってしまうこともあり得るのですから、
そうであってもかまわないのですが、
その国の仕事がなくなってしまうことは
その国に住む人にとっては大へんなことですから、
まだ国という組織が存在している段階では、
メシのタネを確保するためにも
あれこれと対策をとる必要があります。

日本の場合は、アメリカの利害下で今日の体制ができたので、
自由経済の理論が常識になっていますが、
共産主義の洗礼を受けた中国では
そんな理論に左右される立場にいませんから、
ダーティと言われようと、何と言われようと、
自国の利益を守ることを主眼として
為替相場をコントロールしています。
両者を比べればすぐにもわかることですが、
世界的な金融不安の津波を
中国の方が受けないですんでいるのに対して、
日本は今後もかなり大きな被害を受ける可能性があります。

そうなると、政府の対策は後手後手とまわりますから、
企業の海外大移転がかなり進んでから、
やっと政府が対策に乗り出すことになることは
先ず間違いありません。
間違いに気づいた時ではもう遅すぎるのです。
その点、企業より敏感な人は企業より早くそのことに気がつきます。
ですから気がついた人の方が先に手を打ちます。
円高は輸出にとっては不利ですが、
お金を持って海外に行って投資するか、
自分は日本にいてもお金を投資に有利な所へ動かして
有利に働いてもらうことができます。
円高はお金を海外へ動かすまたとないチャンスなのです。


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2010年8月17日(火)

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