中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3825回
日本の地方都市の商店街を中国に移せないか

日本人の最大の長所は何と言ってもサービスの良いことです。
中国人はつい最近まで物が売れても売れなくても月給が同じなら、
お客に対する態度が荒っぽく、
釣銭だって投げて返えすのが珍しくありませんでした。

中国で物の売れる第一のポイントは値段でした。
人より安く売ることができればお客が集まるので、
どこの店も値下げで競争してきました。
そんな中に割り込んで日本のデパートやスーパーが商売をしても、
はたして中国の同業者に打ち勝って行けるかどうか、
疑問に思う人は少くありませんでした。

しかし、私が橋渡しをしてスタートした
イトーヨーカ堂でも伊勢丹でも時間がたって見ると、
中国系の同業者をしのぐ勢いで売上げを伸ばしています。
その理由を分析して見ると、第1にサービスがよいこと。
第2に品揃えに気を使っていること。
第3に信用を重要視していること、
が広く顧客に受け入れられて安定した成長を続けているのです。

とりわけ消費者の所得が年々ふえはじめると、
値段よりも品質が重視されるようになって、
サービスが客寄せの大きな原動力になっています。
となると、日本のデパートやスーパーに客が集まるようになり、
中国や欧米のデパートやスーパーが
日本企業を参考にする動きも見られるようになりました。

たまたま日本では不景気が長期化して、
デパートもスーパーも軒並み赤字を計上するようになったので、
日本の流通大手は中国に一段と注目するようになりましたが、
この動きは流通大手にだけ起っているわけではありません。
今までは製造業者の海外移転が目立ちましたが、
これからは地方都市でシャッター通りになって
店じまいをする中小企業にもそうした動きが出てきます。
日本の地方都市で産をなした人々が、
中国の地方都市で似たようなことができないかと
真剣に考える時期に来ているのです。
いま私はそうした人たちのために
中国の地方都市の勉強会を計画しているところです。


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2010年8月30日(月)

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