中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3829回
円高の被害はこれから本格化する所です

どこの国も自国通貨が異常に値上がりすることを
とても嫌がります。
自国通貨が値上がりすると、
輸出が困難になり、
海外に輸出している企業はお金が儲からなくなって
業績が悪化するからです。

この2年あまりアメリカの金融不安によってドルが値下がりし、
そのあふりを食って円は高くなる方向に動いてきました。
アメリカや続くヨーロッパが不景気になって
輸出にかげりが出ているのに、
その上、円高が続いたら
輸出業者は軒並み大へんな目にあわされます。
ですから、人民元はアメリカから度々、
元高を要求されても、ガンと拒否に出て、
ほとんど相手にもなりません。

それに対して、日本政府は為替レートは市場の決めるもので、
政府が干与するものでないと知らぬが仏を決め込んでいます。
もし為替現場が輸出入のバランスするところに決まるものなら、
そういうリクツも成り立ちますが、
いま世界の為替相場を動かしているのは
国際間を動きまわる遊資であって、
輸出入の決済資金ではありません。
決済資金の百倍をこえる遊資が
投機を狙って国から国へと動きまわるので、
どこの国の中央銀行の総裁もその動きを考えただけで
頭を抱え込んでしまうと言われています。

ここのところ一方的に円高になっているのは
そうした投機資金が一時的に
円に避難しているからだと考えられます。
日本の政治家は経済に無知だし、
自分たちがその被害を直接蒙る立場にいないので、
相場に干渉しないことを投資資金の方が知っているからです。
そのおかげで1ドルが85円を割るところまで円高になりましたが、
ここまで来ると日本の輸出産業は軒並み潰滅的な被害を受けます。
日本の企業の半分くらいが
国を捨てて外国に引越しをする方向に動きはじめています。
いくら鈍感な政治家でも腰をあげないわけには行かないところまで
追い詰められてしまいました。
でもこれですぐ方向転換がはじまると早合点しないで下さい。
これからが見ものなのです。


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2010年9月3日(金)

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