中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3830回
日本企業の海外大移動がはじまる

あまりもの円高が続いて、
ずっと不感症を続けていた政府も、
やっと対策に乗り出すところだと新聞は報じていますが、
これで日本経済の新しい動きに
ストップがかかるわけではありません。
100円から120円の間をドル相場が行き来していた間は、
日本産業界も何とか息がつけましたが、ドルが100円を割ると、
日本で物をつくって外国へ輸出するのでは
海外の自社工場でつくったり、
現地のライバルと競争ができないようになってきました。
こんなに対応が遅くていいんだろうかと他人事ながら、
心配しているのは私だけではありません。

何しろ日本では政界も経済界も二世三世と世代が変わり、
経済界は二世三世では務まらないので、
「サラリーマン資本主義」に体制変わりをしましたが、
政界は親の票をそのまま子供が受け継ぐことができるので、
ごらんの通り封建時代とあまり変わらない体制が
できてしまったのです。
新しく加わったことはと言えば、テレビのおかげで
人気タレントに票が集まるようになったことです。
政治のことなどさっぱりわからない
芸能人あがりがそれに加わって
実権を握った役人たちと縄張り争いをやっているところです。

そこへアメリカの金融不安による津波が
海を越えて襲いかかり、輸出に不振がはじまると、
円だってドル並みの被害をまともに受けます。
ですから、円もドルに右へならえしそうなものですが、
現実に起っていることはドルを売って円に逃げ込む遊資が多く、
ドルが100円を割って日本の輸出産業が
空前のピンチに見舞われているのです。

こうなると、輸出で成立っている
日本を代表する大企業だけでなく、
その下請けをしている中小企業に至るまで
日本にいたのではやって行けなくなります。
政府が無能であればあるほど産業界は生き残るために、
海外大移動をやらざるを得なくなるのです。
そういう動きは、政府が事の重大さに気づいて、
円高の修整に動いても、
もはやストップをかけることのできない新しい動きです。
あなたにもその覚悟はできていますか。


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2010年9月4日(土)

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