中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3833回
円高対策ではもう間に合いません

日本人は自分たちでも言っているように、島国根性の持主で、
外国へ行ってもその国に馴染まず、
勤めが終わったらいつ自分の生まれ故郷に帰れるかばかり考える
国民性の持主だということになっています。
現にこれだけグローバル化がすすみ、
外国にこれだけ取引先があるようになっても、
外国に住む日本人はそんなに多くはありません。

たとえば上海に住む日本人は5万人と言われていますが、
韓国の人は30万人、台湾の人は50万人くらいはいます。
またアフリカ中を数えても、日本人は精々1000人ですが、
中国人とインド人は100万人をこえています。
日本人が外国に行きたがらないのは、
日本国内が日本人に住みやすく、
何もわざわざ外国に行く必要がないからだと言われていますが、
海に囲まれていて
外敵の攻め込んでくるチャンスが少かったこともあります。

でもそれは歴史や地理が教える事実と必らずしも一致しません。
日本もそれなりの混血民族だし、
そもそもが海を渡ってきた異民族が
同じところに定住していたというだけのことです。
現に昨今、最盛期をすぎて衰亡のきざしが見えはじめると、
日本の企業が先ず日本国内では生存することさえ怪しくなって、
一せいに海外大移動のスタートを切るところまで来ています。

その兆ざしはバブルのはじける少し前からはじまっていますが、
ここへ来て俄かに国全体の動きになって持ち上がってきました。
自動車メーカーや家電メーカーだけでなく、
日本の主要産業が
これからの日本では成り立って行かなくなったので、
地球全体の中でどこでやれば生き残れるかを考えて
引越し先を探がすようになったのです。
かつて南方の民族が生き残りを図るために
筏に乗って宮崎県に辿りついたように、
日本の大半の企業が移転先を探がす時代に入ったのです。
円高に対する対策が仮りに效をあげたとしても
もう間に合わないところまで来てしまいました。
人類の歴史の新しい幕明けがはじまろうとしているのです。


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2010年9月7日(火)

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