中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3835回
いよいよ紙本位制に崩壊の危機が

最近、国の借金が主役になって世界中で混乱が起っていますが、
その原因はもしかしたら金本位制から紙本位制に移って、
国が印刷した紙幣で物々交換ができるようになったツケが
まわってきたのではないでしょうか。

世界の通貨として通用するようになったドルが
金本位から離脱しても、
そのまま通貨として決済の手段として居座わったので、
それを奇貨としてそれを一番濫用するようになったのは
ほかならぬアメリカです。
アメリカが一時的に財政赤字になったり、
貿易赤字になったりしても、
ドルを印刷して決済すれば何とかピンチを凌ぐことができたので、
何回もそれをくりかえすうちに、
足りないお金をいちいち税金で国民から取り立てるよりも、
ドルを印刷して間に合わせるのが
アメリカの政府の習慣になってしまいました。

それではいけないいけないと思っても、
それをくりかえしているうちにドルの増刷が進みます。
とりわけ石油ショックのようなことが起りますと、
アメリカは高い石油を買うのをやめて
自分の国の安い石油で間に合わせそうなものですが、
実際にやったことは自分の石油資源はそのまま温存して
ドルをドンドンと印刷して
高くなった産油国の石油を値段構わず買い込みました。

大へんな赤字になりますが、
相手に渡したのは紙に印刷されたドルであり、
石油の値段が更に倍になれば
前に買った石油は安い買い物だったことになります。
その分だけドルはふえますが、
もっとふえれば、物価が上がるだけで、
使ってしまった分はトクをしたことになります。
こういうおいしいお金の味を覚えたら、
ちゃんと帳尻を合わせた財政政策に戻れる筈がありません。

そのやり方を世界中の政府が右へならえをやったのですから、
いつかはその矛盾が爆発します。
それがアイスランドに起って、
次はギリシャで、さて、その次はどこの番だ、
というのがいまヨーロッパに起っていることです。
制度そのものに欠陥があるのですから、
そう簡単に修復のできるものではないのです。


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2010年9月9日(木)

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