中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3836回
借金でやりくりのできない時が来る

アメリカがドルを印刷して財政のピンチを凌げば、
よその国もその真似をします。
しかし、ドルは世界の通貨として
どこの国の人でも受け取ってくれますが、
貧乏国の通貨は他の国では通用しません。
従って通貨の事情が悪くなった時に、
その国の通貨を大量に売ってドルに換えようとすると、
その国の通貨が大混乱を起します。
10年前にはタイでもフィリピンでも韓国でも
そういうことが起りました。

どうしてかというと、
これらのアジアの国々では経済開発のために、
海外から大量の資金の提供を受けていたからです。
工場ができて生産がはじまっても、
予定通りに順調な輸出がはじまることは先ずありません。
銀行がお金の回収で頭を痛めている時に、
アメリカの遊資がドルの大量回収にかかったら、
どこの国も外貨の不足におちいって
中央銀行がピンチに追いこまれます。
アジアの通貨が危機にさらされたのも、
実は同じようにアメリカの政府がタレ流しにしたドルの仕業です。

そうした苦境をやっとのことで通り抜けたアジアの国々では
肝に命じて用心するようになったので、
今回のアメリカからはじまった金融不安の影響は
さして受けていません。
「金で金を生むこと」に熱中している香港とシンガポールの銀行と、
僅かに日本でアメリカをお手本にして
アメリカに右へならえをしている一部の金融機関が
その損害を受けていますが、
一番深刻なのはアメリカの真似をして
借金で財政資金を賄い
紙幣を印刷してやりくりをしているユーロの弱体国家と、
金で金を儲ける事業に大量投資している
ヨーロッパの銀行と言ってよいでしょう。

いずれも日本と同じように紙幣を印刷して
お金でお金を儲ける事業に大量の投資をしていますから、
借金を返えすのにまた国がもっと大きく借金をする立場にあります。
景気はそう簡単に恢復しないだけでなく、
そのやりくちができないとなると
いまの貨幣制度が行き詰まるところまで
来ているのではないかと考えたくなります。


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2010年9月10日(金)

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