中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3864回
裏金の処理が財務相談の主なテーマです

源泉課税でサラリーの中から税金を天引きされ、
その残りを手渡されている月給取りは税法や税率には鈍感ですが、
汗水垂らしてお金儲けをして、
やっと手元に残ったお金の中から
「これだけ払え」と命令される
中小企業のオヤジさんたちはどうしたって税金には敏感になります。
何とかして税金を払わないですむ方法はないものかと
無い知恵を搾ります。

節税には色んな方法があって、
その研究もできていないのに、
誰でも考えることは税務署にわからないように
儲けの中からお金を抜いて
こっそりポケットに入れる方法はないかということです。

サラリーマンは収入の金額を捕捉されているので、
脱税率はゼロに近いけれども、
商売人はお金の授受が現金の場合、
人に知られないですむケースも多々あります。
現金商売で仕入れも売り値も自分で決められる場合は、
いくらで仕入れていくらで売れたかは自分たちしか知りませんから、
過少申告をすることができます。
私がビルを建てる相談を受けた八百屋さんが
40年も前に6千万円も貯め込んでいたのも、
そういう立場におかれて現金の授受ができたからです。

これと似た立場で、
最もスケールの大きいのは何と言ってもパチンコ屋さんでしょう。
自分の隠し金をどう処分したらいいのか、
最もたくさん相談を受けたのは、
経済成長期にザクザクお金の儲かったパチンコ屋さんたちでした。
とりわけ地方都市でそれが目立ったので、
地方のパチンコ屋さんは
地方の銀行にお金を預けることができず、
現金で東京まで持参して、
ひどいのになると匿名で定期預金をする人が少くありませんでした。

匿名で預金をしていても、
お金は目減りする一方ですから、
何とか不動産に投資できないか、
その場合、どんな名前で、
税務署に何と申しひらきをしたらよいか
というのが中心課題でした。
人間社会を裏側から見た相談が一番多かったのです。
高度成長でお金がザクザク儲かった時代の話です。


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2010年10月8日(金)

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