中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3871回
商売で成功するのは皆他所者です

時代が変われば、もちろん、田舎の町にも大きな変化があります。
田舎町の顔役は一昔前までは、
米屋と材木屋と造り酒屋と宿屋のオヤジさんでした。
しかし、少し時代が変わると、
ガソリン・スタンドとスーパーとビジネス・ホテルと
レストランと結婚式場を兼ねた集会場のオヤジさんに変わりました。

面白いことに、
材木屋や造り酒屋のオヤジさんが転業して
新しい商売をはじめることは先ずなく、
町や村の新商売は隣の町とか、
隣の県からやって来た他所者によって
はじめられたものがほとんどです。
しかもそれらの人たちが
村や町の新しい顔役をつとめるようになるのです。

どうしてそれがわかったかというと、
或る時期、私は人気のあるプロの講師として
全国から講演に来て欲しいと声がかかり、
月に15回(それ以上は体力的にも物理的にも無理だったので)
全国隅々まで講演をしてまわったことがあります。

講師の先生が来ると、
地方のどこの町でもその町の団体、
商工会や銀行などに所属するメンバーの中で
一番上等な自家用車を持った社長が
講師の送り迎えを仰せつかります。
私がどこかの飛行場か、駅に着くと、
必らずピカピカの高級車が迎えにきますが、
オーナー・ドライバーはほとんどが40才前後で、
私はその人の隣席に座って講演会場に向います。

30分か、1時間かかる車の中で、
私はご本人の仕事の内容やスケールや
更には出身地からはじめて何年たつかと言ったことについて
質問をします。
そうすると、1つの町で町一番の成功者になっている人は
ほとんどが仕事をはじめてから10年ほどしかたっておらず、
やっている仕事も今までその町になかった新しい仕事です。
しかも本人はその町の出身にないことがほとんどです。
新しい仕事は既存の業者を排除して成り立つ仕事が多いので、
自分の町ではやれないのです。
ですから新潟県の人は福島県に行って新しい仕事をはじめるし、
新潟県には富山県の人が来て一戦を交えるのです。
お隣の店や青年会のメンバーのことを気にしていたのでは
新しい仕事に手を出せないのです。


←前回記事へ

2010年10月15日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ