中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3883回
お店って何のためにひらくか知ってますか

日本人も外国に行くとすぐ日本料理屋をひらきたがりますが、
中国人は中国にいても中国料理屋をひらきたがります。
北京に行っても、上海に行っても、
いやいや、地方の都市に行っても一番多いのは食べ物屋です。
どこかで行列のできる食べ物屋ができたら、
すぐその真似をした店がまわりにズラリと並びます。
人の真似ですから、美味しい筈もありませんが、
店もきれいだし、値段も安くなっていますから、
それなりに人が入ります。
でもそう長続きはしません。

あんなにたくさんできたのでは儲かるわけがありません。
レストランは本当はとても難しい商売なのです。
料理もおいしくなければ人が寄りつきませんし、
サービスに手落ちがあったらすぐに文句を言われます。
家賃も払わなければなりませんし、
人も使わなければなりません。
はじめは赤字からスタートしますが、
損をしないようになるまでに大へんな努力を必要とします。
やっと赤字を免れたかと思ったら
近所にライバル店ができて競争に曝されます。
その上、毎日、工夫をしないと
すぐお客様からあきられてしまいます。

それが昨今のような不景気に見舞われると、
客足が遠のいてたちまち売上げがおちます。
景気がよいように見える店でも、
1割売上げがおちると収支トントンになります。
もう1割おちると、赤字になります。
それが更に1割おちると金ぐりに苦しむようになり、
お店を閉めようかどうしようかと思案の分かれ道に立たされます。

ですから、
「お店って何のためにひらくか知っていますか」
と私も時々、自分がひらいている店の店長にききます。
向うが答えに迷っていると、すかさず
「お店はしめるためにひらいているのですよ」
と私が代わりに答えます。
それでもレストランをひらく人がこんなにも多いのです。
どうやったら儲かるか、私も含めて、知らない人が多いのに、
それでもレストランをひらく人が
こんなに多いのはなぜでしょうか。


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2010年10月27日(水)

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