中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3884回
店づくりこれで儲かるわけがない

自分が仕事をするようになって、
自動車に乗って東京の町を走った時、
行けども行けどもお店がズラリと並んでいて、
「どうしてこんなにお店をやる人が多いんだろう」
とびっくりしたことがあります。
「こんなにたくさんの人が店をひらいて、
その一人一人がお金儲けをしようとしているけれど、
こんなに多くの人に分け前をくれるほど
世の中にお金ってたくさんあるのだろうか」
と私は首をかしげました。

お金儲けとは、人よりたくさん儲けることが目的ですから、
お金儲けのうまい人のところへはたくさんお金が集まり、
反対に下手な人はお金が儲かるどころか、
逆にお金を減らすことが起ります。
恐らく大してお金の儲からない人がこんなにもたくさんいて、
毎日、同じことをくりかえしているんだな、
というのがその時の私の感想でした。

ですから、人と同じことはやるまい、
少くとも人と同じような店をつくって
お客様の入ってくるような商売はやるまいと
自分に言いきかせました。
幸、筆一本で生活できるようになり、
原稿用紙とペンと面の皮だけで
人の何十倍も稼ぐことができるようになり、
また喋るだけで年に億の収入があるようになったので、
原価はいくらで、加工賃にいくらかかってという計算を
しないでも暮し向きが立てられるようになりました。

それでやめておけばいいのに、
お金儲けの先生をやっているうちに、
これなら自分にもできるのではないかと、
セルフサービスの洗濯屋からはじまって、
砂利屋や洋服屋や剣道具屋からウナギの養殖、
さては牧場、工場団地まで手がけて、
ついに大陸で町づくりをやるところまで辿りついてしまいました。
当然、そのプロセスで商店街に店づくりをするのから、
デパートやスーパーに店を出すまで
「やらなかった仕事の方が少いのではないですか」
と人に笑われるほど
さまざまなことにちょっかいを出してきました。
そして、改めて店づくりの難しさを痛感しているところです。


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2010年10月28日(木)

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