中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3889回
やっと北京に小さなコーヒー店が一軒

今でも海外に行って
仕事をしたいと思っている人は多いと思いますが、
家族に反対されたら思い止まる人は2人や3人ではないでしょう。
まして7、8年も前のことならなお更のことです。

そこで次に中国に行く時に、
私は原田さんの奥さんと息子さんを上海、北京にご案内しました。
奥さんは現にパン屋の家業を手伝っておられるし、
息子さんは将来、家業をつぐために
アンデルセンに修業に行っているところです。
当然のことながら、お二人とも上海でも北京でも
同業者のお店を次々と見てまわり、
ご自分たちなりに結論を持ってお帰りになった模様です。

次に顔を合わせた原田さんに私が
「いかがでしたか」ときいたら、
原田さんは満面に微笑をたたえながら、
「女房にうしろから肩を叩かれて、
“あんた、ラースト・チャンスですよ”
と言われてしまったのですよ」というわけで
原田さんが共同経営者になってくれることが決まったのです。

コーヒーの店は北京の三全公寓の1階にある
子供の遊び場を改造することに決まりましたが、
たった一軒のコーヒー・ハウスに供給するだけですから、
パンとケーキをつくる工場はマンションの地下室に
20坪くらいの小さな工場をつくれば事足ります。
私のような門外漢には見当もつかないことでしたが、
パンをつくる部屋とケーキをつくる部屋は
発酵菌が違うので別々でないといけないことも
この時、はじめて教えられました。
またパンをつくるメリケン粉も、
中国はまだ日本のレベルには遠く及ばないので、
日本の製粉会社から特別の輸入ルートで
手に入れる必要があったことも、この時、はじめて知りました。

原田さんはご自分の工場から、
パンの職人とケーキの職人を派遣して下さり、
何とかコーヒー・ハウスを
オープンできるところまで漕ぎつけました。
オープニング・パーティは賑やかにひらきましたが、
それからが大へんなんです。


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2010年11月2日(火)

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