中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3892回
事業の拡張より人事で躓くのが先

仕事がうまく行ったら、
誰でも仕事を大きくすることを考えます。
とりわけ通りすがりとか、
固定客相手の商売はいくら繁華しても
売上げも利益も知れていますから、
店を大きくするか、
支店をつくることを考えるようになります。

しかし、そこまで行く前に、
大抵の駈け出し経営者は
店の人事で思いもよらない目にあわされます。
家族労働ではじめた企業だって
ご主人と奥さんと意見が分かれたり、
兄弟や親子の間でいざこざが起ります。
ましてやそれが外国での企業ということになると、
トップの人事から、
使用人との問題まで色々とトラブルが必らず起ります。
起らない方がどうかしていると言ってよいかも知れません。

コーヒー・ハウスの場合は原田さんとパートナーになる少し前に
台湾の青年が北京までやってきて
色々と下調べをやってくれました。
うちの台湾のゴルフ場で働いていたことがあるそうで、
実家が台湾風の菓子屋をやっているので、
同じやるなら北京でやる方がいいと考えて
とび出してきたのだそうです。
どうせ誰かにやってもらうのだから、
素性も知れていて、言葉も通ずる人がいいと考えて、
海外からの投資会社を創立する時に、
その青年に総経理になってもらいました。

ところが、その若い総経理は
うちの商品を卸す相手先と親しくなると、
会社には無断で取引先と結託し、
卸値を引き下げた上に、取引先のパートナーになりました。
取引先の様子を見るために
原田さんが予告なしにその店に出かけて行ったら、
うちの店で店長を辞めた中国人の青年がそこで働いていたので、
事が露見してしまったのです。
中国でも、香港や台湾でも
こんなことは珍しいことではありません。
現に日本の有名な化粧品会社が
台湾の投資先で自社独特の商品が市場に出ているのを見て
不思議に思って調べたところ、
総経理に任命した台湾人がもう1つ台湾に
工場をつくっていたことがわかって
驚天して本人を首にしたことがあります。
海外で店の拡張をする前に人事のトラブルがあっても
決して不思議ではありません。


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2010年11月5日(金)

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